マイセン　カ ッ プ &ソーサー 神 話 図　金彩コバルト地

マイセンカップ\u0026ソーサー神話図「恋に落ちた乙女」
金彩コバルト地
制作年1880-1890年頃
コンディション:修復なし。金彩にスレあり、ソーサーの高台の底面にスレがありますが、成形時のものか、後からのものかは判断はつきません。底面なので、あまり目立つものではございません。
サイズ:カップの直径約9.7CMソーサーの直径約14.8CM
マイセンの神話図写しによって彩色されたコバルト地のC\u0026Sです。サイズが一回り大きいもので、素地も厚く、見ただけで重量感が伝わってきます。
ソーサーに施された3つの窓絵も5、6、7つ花+昆虫と豪華なもので、この時期に多く見られる柔らかなタッチでありながらブーケらしい立体感も併せ持っています。
窓絵のサイズもカップが幅9cm、高さ5.5cm、ソーサーは幅6cm、高さ4cmとやはり大きめに設定されています。金彩の仕上げを含め、19世紀後半のマイセンC\u0026Sの中では最上級に位置づけられる作品でしょう。
描かれた神話図は、フランスの画家、ピエール=シャルル(ピエール=ヨセフ)・ル・メッタ(1726年-1759年)の作品の写しで、カップ高台裏のカリグラフィーからタイトルは「恋に落ちた乙女」と読み取れます。詳細は不明ですが、後期フランスバロック期に活躍した画家の一人のようです。
マイセンの神話図や天使図、あるいは恋人図などは、ワトーなど18-19世紀のフランス画家にモチーフを得ることが多く、往時の優雅な宮廷文化を感じさせてくれる題材は、当時の富裕層が好むものであったのかもしれません。
本作ではバロック調の官能的なテーマと柔らかいタッチで見事に再現されており、筆さばきも緻密です。ここまで来ると、オリジナルの絵画作品と言ってもよいクオリティーの高さを感じます。また、曲面の多いシェイプへ絵画を写すためには相当の技術が必要で、当時のトップクラスの絵師が本作を担当したのだと思います。こうして見ると、もったいないほどの贅沢な扱いを受けた「食器」と言えます。これらを手にした当時の購入者たちは、特権ともいうべきリッチな雰囲気を味わいながらコーヒーや紅茶をゆったり味わっていたことでしょう。